写真を撮るヒマもないほどパウダー三昧
日曜日の朝、相変わらず雪、風ともに強く、ひどく冷え込んでいて愛車のハイエースもまるで風邪を引いたかのようだ。
簡単に朝食を済ませ、早速準備にとりかかる。が、やはりリフト開始時間には間に合わなかった。現代の日本同様、抜本的な改革が必要なようだ。今度ゆっくり考えてみよう。
センターハウスでリフトの運行状況を確認すると、雄国第1ペアリフトと雄国第2ペアリフトとだけが動いているようだった。それ以外は大雪のため整備により運行開始が遅れているようだ。
せっかくのパウダーDAY、ガタガタ言わずに早速雄国第2リフトに乗り込み、まずはアムール・プロムナード・インにテイクオフ。
しかし、猫魔スキー場のコース名は覚えづらいし、読みづらい...
とても短い斜面だが、ヒザモモのパウダーに思わずMさんも歓喜の雄叫びをあげた。
続いてダルジャン・インにテイクオフ。
ゲレンデ下部のコース故に深くはないが、それでも十分なパウダーコンディション。少しだが当て込める壁もあってなかなか楽しめる。
その後雄国第1を1〜2本回した後、例のごとくハイタッチして女性陣にバトンを渡す。
そして、とりあえず缶ビールで乾杯。
あっという間に飲み干したが、昨日の反省を踏まえて2本目をぐっと堪える。
女性陣が帰ってくると、昨日は雪が深すぎて滑らせることができなかった子供達の出番だ。
初心者コースのファミーユゲレンデでスノーボードの練習。
こどもの上達は早い。前回、アカカンのスクールで横滑りを教えてもらったばかりなのに、何となく体感覚で覚えてしまうのだろうか、試行錯誤しながらもだんだん行きたい方向に行けるようになってきた。
転んでも痛くないことに気付くと、徐々に板を動かしだした。それは色々と試しているようにも見える。その後、リフトを3本ほど回して満足したようで終了。
休憩室に戻るやいなや、猫魔第1ペアリフトの整備が完了し運行を開始するとのアナウンス。
脱いだばかりのブーツを履き直し、慌てて雄国第2ペアリフトへ。
猫魔第1ペアリフトへは雄国第2ペアリフトを乗り継いで行かなければならないのだ。
既にリフト乗り場にはパウダーボードを履いた猛者達が列をなしていた。
昔ながらのペアリフトは遅い。
普段であれば、ゆっくりと景色や会話を楽しみながら乗るのだが、こういう一刻を争う時のペアリフトは苛立たしいほどに遅い。
どれくらいの時間が経ったであろうか。
やっとコースに辿り着いた時には、コース中央は既に食べ散らかされて見るも無惨な姿となっていたが、コース脇にはまだまだ新雪がその白い清楚な姿のままで残っている。
コース脇に残っているパウダーエリアを中心に所々にある吹き溜まりに当て込んでスプレーを上げながら、モモ腰サイズの深雪を何本か堪能した。
スキーセンターに戻り、そろそろ帰ろうかなんて話していると、今度は大雪のため朝からクローズしていた猫魔パークがオープンするというアナウンス。パークへのアクセスはダルジャン・モーグルのみとのこと。
思わずMさんと顔を見合わせた。
ダルジャン・モーグルは昨日もクローズしていて、今朝リフトから見た時には完全なるノートラックバーンだった。その綺麗な斜面を見ながらMさんとここ滑ったら最高だねなんて話してた場所だ。
既に帰る支度を始めていた女性陣に、1本だけならという条件で許可を得た僕らは、脱いだばかりのジャケットを羽織り、慌ててリフト乗り場に向かう。
リフトで上がりながら、ダルジャン・モーグルを見ると、次から次へと歓喜の表情でドロップしていくパウダージャンキー達が、思い思いのラインを描いていく。
かなりのトラックが走っているが、まだいくらか残っている。
リフトを降り、急いでバインを締めてテイクオフ。
感極まった僕は、ヒャッホーゥ!と叫びながら深雪の上を思いのままに滑走した。
滑る前のワクワク感、滑走している時の高揚感、滑った後の余韻。どれをとっても最高だ。
そして僕らは何も言わずにまたリフト乗り場へ。
女性陣に怒られるのは承知の上だ。
そして最後の1本は、パウダーの儚さを慈しむかのように、その柔らかな感触を感じながら滑り降りた。
そしてMさんと何も言わずにハイタッチ。
お互い最高の笑顔だ。
ニヤニヤとにやけながら帰ってきた僕たちを見た女性陣は、怒るというよりもやれやれと呆れた表情…
仕方あるまい、だってそこにパウダーがあるのだから。と心の中で訳のわからない言い訳をしながら、帰りの支度をするその顔は、まだにやけたままだ。
帰路ではハンドルを握りながら、今回のトリップを回想していた。
やっぱりパウダーは最高だ。
深雪の上を滑走する浮遊感、ターンでスプレーを上げた時の雪に優しく包まれる感覚。
非の打ち所がない。
改めて自然で遊ばせてもらうことの素晴らしさを実感した。
そして自然に対し、畏敬の念と感謝の氣持ちが湧き上がってきた時、ふと西の空に綺麗な夕陽が輝いていることに気付いた。
それは、まるで自然の神が「佳き哉〜」と言っているようだった。